コーヒーに関する資格は、国によって様々なものがあります。しかし、その国で取得した資格はその国でのみ有効。一度日本を離れると意味を持たなくなってしまいます。そんな中、世界共通となっているコーヒーの資格もあるのです。
唯一の国際的コーヒー鑑定士資格「Qグレーダー」
Qグレーダーは、世界でたったひとつの国際的なコーヒー鑑定士資格です。アメリカのSCAA(米国スペシャリティコーヒー教会)が資格を主催しており、取得するにはコーヒーに関する高度な技術・知識を要求されます。
国ごとに異なる評価基準の統一
各国の資格では、コーヒー豆の評価基準に関しても差異がありました。世界中で楽しまれているはずのコーヒーの基準が、国によってバラバラでは困ってしまいますよね?
そういった、国ごとの事情・文化を飛び越えて“客観的”で“公平”な基準を作るという目的のもと作られた資格が「Qグレーダー」なのです。
Qグレーダーを取得するためには?
Qグレーダー取得には、6日間に及ぶ研修・試験を受けなくてはなりません。試験は全部で8科目19試験。ひとつもこぼさず合格しなくてはならず、難易度が厳しいことでも知られています。以下が、全8科目の内容です。
- 筆記試験(General Coffee Knowledge)
コーヒーに関する一般的な知識を問われる筆記試験になっています。
センサリースキルズ(Sensory Skills Tests)
コーヒーの味の基本要素である4つ(苦み、酸味、塩味、甘み)の中から後者3つに関する味覚の鋭さを試される内容。コーヒーではなく、食塩・クエン酸・ショ糖の水溶液を使用してテストが行われます。 - オルファクトリー(Olfactory Tests)
コーヒーに含まれる36種類の香りを4つのグループに分け、識別する嗅覚のテスト。グループ別に計4回のテストが行われる。 - トライアンギュレーション(Triangulation Tests)
産地によって異なるコーヒーの味、風味をカッピングによって識別するテスト。計4回実施される。 - 有機酸マッチングペア(Organic Acid Matching Pairs Test)
コーヒーに含まれる有機酸に関する知識や風味に与える影響を学び、酸を添加したコーヒーのカッピングで“風味を識別できるかどうか”のテストを行う。 - ローストアイディー(Roasted Sample Identification)
カッピングで使われるコーヒーのサンプルについて学び、適切なサンプルかどうかを識別する能力を測るテスト。 - グリーングレーディング(Green Coffee Grading)
SCAAが定める生豆や焙煎豆の評価・格付けを学び、正確に格付けができるかを見定めるためのテスト。 - カッピング(Cupping Tests)
SCAAの方式に則ったカッピングを学び、官能評価ができるかを計4回のテストで判断されます。
受験のチャンスは年に2回
19科目の中で、もしも不合格になってしまった資格がある場合、年に2回まで再試験を受けるチャンスがあります。しかし、再試験は次回講習時になるので半年間待たなくてはなりません。期間が空いてしまいますので、できれば一発で突破したいところでしょう。
資格維持の難しいライセンス
一度Qグレーダーの資格を取得すると、3年間のあいだ有効となります。3年後にQグレーダーの資格を更新したい場合、更新試験に合格しなければなりません。一度取得したから終わりということではなく、常に最新の知識・技術が求められるためです。
※3年間ごとに更新試験が必要
Qグレーダーの有効期間は「すべての試験に合格してから」3年間の期間を設けるわけではありません。「最初に参加したコース」をスタートとして3年間の期間を定めるのです。半年後、取りこぼした試験にパスしたとしても、期間が更新されるわけではないので気をつけて下さい。
世界的コーヒー鑑定士資格「Qグレーダー」
以上のように、Qグレーダーは世界でたったひとつの国際的なコーヒー鑑定士資格です。3日間の研修とさらに3日間を要する8科目19試験に及ぶテスト。
ハードルはかなり高いですが、コーヒーを生業に世界で活躍するには取っておいいて損はない資格だと言えます。コーヒーの世界で生きていくのなら、狙ってみてもよいかもしれませんね。
※一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会より引用