アジアとヨーロッパをつなぐ地域の交差点、トルコ。様々な人や物が行き交うトルコでは、ヨーロッパよりも1世紀余り早く、コーヒー店が出来たと言われています。ここではトルココーヒーに欠かせない「イブリック」ついてもご紹介します。
トルコ式コーヒーの歴史
トルコの首都コンスタンチノープル(現イスタンブール)に、世界初のコーヒーハウス「カフェ・カーネス」が登場したのは1554年とされています。日本で戦国時代真っ只中のこの頃、トルコではコーヒーを飲むカフェが誕生していたのです。
トルコ式コーヒーのスタイルはこの頃から変わっていません。イブリックで煮出したコーヒーは、コーヒー好きの間でターキッシュ・コーヒーとも呼ばれ、比較的良く知られたスタイルです。日本では、実際に飲んだことのある人は少ないかもしれません。
トルコ式コーヒーの特徴とイブリック
トルコ式コーヒーの一番の特徴は、コーヒー粉を漉さず上澄みだけをすすって飲むことです。イブリック(IBRIK)と呼ばれる器具を使って、水から弱火でゆっくり煮出します。イブリックは、銅または真鍮(しんちゅう)製で、長い柄がついた柄杓型の小鍋のことを指します。サイズは1人〜2人用が120cc~200ccが一般的なサイズとされています。
イブリックで煮だしたターキッシュコーヒーの味は濃厚。フィルターで濾すドリップ式では出せないコクと香りが口の中に広がります。
意外と歴史の浅いフィルター抽出
フィルターで濾したコーヒーを飲むことに慣れている私たちにとって、トルコ式コーヒーの飲み方は意外に思えるかもしれません。しかし、コーヒーの粉を濾す抽出方法の歴史は意外にも浅く、1710年頃が始まりと言われています。
その後1763年、パリのすず細工師ドルマルタンが、輪を取り付けたネル地の袋を容器の中に浸してからコーヒーを抽出させるポットを発明しました。 そしてようやく1800年頃、ドゥ・ベロワというパリの大司教がドリップポットを設計し、「コーヒーの粉を濾して飲む」というスタイルを普及させていったのです。
トルコ式コーヒーの作り方
独特な方法で抽出するトルコ式コーヒーの淹れ方をご紹介します。
- 深炒りのコーヒー豆を用意し、小麦粉のようなパウダー状に挽きます。
- 砂糖と、お好みでカルダモン(スパイス)を入れ 、弱火で加熱します。
一杯分は、コーヒー粉8g、水80cc程度が目安です。 - 弱火にかけ、スプーンで混ぜながら煮出してゆくと、徐々に泡が出来てきます。一度沸騰させて火から降ろす作業を2~3回繰り返し、細かな泡が浮かび上がれば出来上がりです。
- コーヒーの粉は濾さずに、泡を消さないようにカップにそっと注ぎ、粉がカップの底に沈むのを待ってから上澄みをいただきます。
まったりとした味わいで、コーヒー豆の個性を余すところなく楽しめる飲み方です。トルコ式コーヒーは、イブリックがなければミルクパンで代用できるので、ご自宅で試してみるのも良いかもしれません。
カップの底にあるモノで○○をしよう!
トルコ式コーヒーのスタイルが現在も変わらず、トルコの人々に愛されている背景には、単なるコーヒーの味を楽しむという理由の他に、もう一つ理由があります。トルコ式コーヒーを飲んだ後に、カップの底に現れる沈殿したコーヒー粉の形状によって未来を占うのです。
気になる結果ですが…
- 全体に流れていたら…
好調に展開、周囲のからの協力に期待が持てます。 - 底に固まっていたら…
じっと我慢の時、他人との論争を避ける。 - 取っ手の方に流れていたら…
大きな幸運に恵まれます。直感力、想像力が冴えます。 - 取っ手と反対方向に流れていたら…
健康に要注意。 - 飲み口の方に流れていたら…
直感を過信せず、結論を急がずじっくりと考える。
トルコ式コーヒーに欠かせないイブリックまとめ
コーヒーを濾さずに飲む方法にも、実は理由があったのです。トルコの他でも、黒海沿岸各国でコーヒー占いが行なわれているそうです。コーヒーを飲んだ後も楽しめる、トルコ式コーヒー、1度試してみたくなります。