生クリームで作るカフェオレというと、まったりした風味が特徴的で、好みの方も多いのではないでしょうか。また牛乳では物足りないという方は、よく使われるかもしれません。
牛乳で作るカフェオレとは違った味わいを楽しめる生クリームについて、迫っていきたいと思います。
生クリームの選び方
市販の生クリームには、大きく分けて脂肪分が30%台のものと40%台のものがあります。口当たり柔らかな軽さが好みの方は脂肪分が低めな生クリームを。濃厚でコクのある飲み口が良いという方は、脂肪分の数値が高い生クリームを選ぶようにしましょう。
ちなみに、脂肪分の高い生クリームは濃厚さが特徴的ですが、コーヒーに混ぜたとき脂肪分が分離してしまう場合もあります。
生クリームとホイップクリームは違うので注意
また、牛乳を原料に作られたものを「生クリーム」と言い、「ホイップクリーム」と呼ばれるものは植物性由来の添加物(植物油脂や乳化剤など)を使用し作られているため、厳密には別個の商品名を持つこのふたつは別物です。
今回は生クリームについてですが、ホイップクリームの特徴としては濃厚さに欠けるものの、さっぱりとしてクセがなく、生クリームにくらべ日持ちが良いことです。
ホイップする?しない?
生クリームというと、ウィンナーコーヒーのようにホイップし、コーヒーに浮かべているイメージを持つ方も多いでしょう。そして、ウィンナーコーヒーにつかっている生クリームはホイップを固めにしている場合が多いです。
しかし今回のようなカフェオレで飲みたい時に限って言うと、固いホイップはオススメできません。ホイップを固くしてしまうとコーヒーと混ざらず浮いてしまうため、コーヒーとクリームが別個のものになります。つまりカフェオレにはならないのです。
カフェオレにしたいなら、3分立て程度に
「ホイップクリームが好きだけど、カフェオレにしたい!」という方は、3分立てでホイップしてみてください。トロンと滑らかな程度です。こうすることでホイップを保ちつつ、コーヒーとも混ざり合ってくれます。
濃いコーヒーとの相性
《今回の豆と器具》
- コーヒー豆:ブレンド(フレンチロースト)
- 抽出器具 :モカエキスプレス
意外とコーヒーの深みは残る
生クリームのテイストは、まったり柔らかな雰囲気を醸し出してくれます。そしてもちろん苦みを和らげて飲みやすいカフェオレに仕上げてくれます。しかしそれでも、濃いコーヒーの深みはしっかりと感じられます。
とりわけ深煎りのコーヒー豆を用いると、スモーキーさがクリームのマイルドさと混ざり合い、何とも言えない深みを感じさせてくれます。
オススメは少し加える
もともと生クリームは濃厚なため、少量でも通常のカフェオレに匹敵する円やかさを生み出します。そこで敢えて少量にすることで、カフェオレらしい円やかさを出しつつ、コーヒーの濃さを引き出すと美味しく仕上がります。
およそ「コーヒー:生クリーム=7:3から9:1」あたりの比率がオススメです。
穏やかなコーヒーとの相性
《今回の豆と器具》
- コーヒー豆:イパネマ農園リザーブ(ハイロースト)
- 抽出器具 :HARIO V60ドリッパー
穏やかなコーヒーの風味は、生クリームのまろやかさが最も活かされている印象です。
そんな生クリームのカフェオレは、どうしても風味の重みから、何杯も飲めるものではありません。しかし一杯に感じられるリッチなテイストは、他のカフェオレにはない至福へと誘ってくれます。
特にハニーコーヒー(パルプドナチュラル)の場合、コーヒーの甘味が生クリームに溶け込んでいて、心地よい調和を満喫することが出来ます。
思い切って生クリームを多く使おう
生クリームはコーヒーの味を、しっかりと包み込んでくれます。そのため通常のカフェオレのように1:1で作ると、生クリームが前面に出てきます。一見コーヒーらしさに欠けたカフェオレに思えますが、穏やかさを活かすのであれば、とことんクリーミーに仕上げた方がオススメです。
前述の濃いコーヒーや、後述の明るいコーヒーには見られない、うっとりした落ち着きを与えてくれます。
明るいコーヒーとの相性
《今回の豆と器具》
- コーヒー豆:イルガチェフェG1(ミディアムロースト)
- 抽出器具 :モカエキスプレス
イルガチェフェのように鮮烈な酸味を持つコーヒーでも、生クリームの前では、歯が立ちません。そのため酸味は全く感じられずクリーミーさ一強の状態です。しかしこれによって、酸味とクリーミーさの不和がなくなり、飲みやすく仕上がっています。
しかも明るさは残存するため、生クリームのカフェオレなのに、後味は意外とスッキリしています。
生クリームが主体になってしまう
意外と飲みやすいメリットの反面、デメリットもあります。それはコーヒーの味が弱いため、生クリームが主役で、コーヒーが脇役のような存在になっているところです。
もしコーヒーの風味を残したいのであれば、生クリームのカフェオレはあまりオススメできません。
生クリームを用いたアレンジ
チョコレートとの相性が良い
生クリームのまったりとした重い味は、チョコレートとの相性に優れています。
ブラックチョコレートを用いると、生クリームの柔らかさの中にほろ苦さが広がる大人のコーヒーに仕上がります。そこにブランデーを一滴加えると、さらに大人っぽさが増します。
一方でホワイトチョコレートを用いると、上品なスイーツのようなコーヒーに仕上がります。こちらはキャラメルシロップを加えて甘々にしたり、あるいはシナモンを加えてアクセントを加えたりするとオススメです。
アルコールとの組み合わせ
生クリームとアルコールの相性は意外と優れていて、有名なものだとアイリッシュコーヒーやホワイトルシアンで使われています。
生クリームは、ツンとくるアルコール臭を抑え、飲みやすく仕上げてくれます。そのため落ち着いてコーヒーリキュールを飲みたい時は、生クリームを加えると非常に飲みやすくなります。
生クリームは使い方次第
今回はホイップしない生クリームのカフェオレとの相性についてお話させていただきました。
ここでの大きなポイントは、ホイップした生クリームはコーヒーと分離してしまうのに対して、生クリームはコーヒーと混ざる点です。コーヒーと混ざるために苦みが弱まり、全体として重みのあるカフェオレに仕上がります。
そのためホイップクリームではなく、濃厚なミルクであることを前提に考えて、カフェオレを作ると美味しく仕上がります。生クリームを使って、濃厚なカフェオレを作ってみてはいかがでしょうか?