自宅で簡単にエスプレッソを淹れられる、直火式エスプレッソ。そのフォルムの可愛さや使い勝手の良さから、人気が出ている抽出器具です。直火式エスプレッソの特徴と言えば、「簡単」という点ですが、実は気を付けないといけないこと、そしてもっと美味しくなるコツがあります。そんなポイントを含めて、これから使い方をお話ししていきます。
直火式エスプレッソとは?
直火式エスプレッソの構造
直火式エスプレッソは、大きく3つの構造に分かれています。写真の左から、ボイラー・バスケット・サーバーです。
- 〘ボイラー〙
ボイラーは、直火式エスプレッソの一番下の部分。名前の通り、ここに水を入れて沸かします。そしてボイラーについている“へそ”のようなものは圧力弁です。気圧が急騰したときに、圧を逃がす役割を担っています。 - 〘バスケット〙
バスケットは、コーヒー粉を入れる部分です。エスプレッソマシーンのホルダーに当たる部分です。 - 〘サーバー〙
サーバーは、抽出されたコーヒーが溜まる部分。直火式エスプレッソの一番上にあたる箇所です。
準備するもの
- 直火式エスプレッソ
- 水
- コーヒー粉
【注意!!】最初に確認すべきこと!
IHではないですか?
自宅でIHクッキングヒーターを使っている方も多いのではないでしょうか。IHを使用している方は、注意が必要です。まず「アルミ製」の直火式エスプレッソを使っている場合、IHクッキングヒーターでは使用できません。
次に「ステンレス製」もしくは「IH使用可」のものを使っている方、気を付けなければならないことがあります。日本のIHクッキングヒーターは、安全のため直径12cm未満の器具は使えない構造になっています。そのため、直火式エスプレッソの底面が直径12cm以下の物は、専用のヒーティングプレートが必要となります。
ゴムパッキン、劣化していませんか?
サーバーの底にはゴムパッキンが付いています。これはバスケットとサーバーを密着させて、圧力を逃がさないためのパッキン。直火式エスプレッソには欠かせない存在です。
このゴムパッキン、ずっと使っていると劣化してきます。そして劣化すると抽出が上手く行かないどころか、時には器具の破損の要因にもなりかねません。もしヒビが入っている・硬化しているといった状態であれば、交換しなくてはなりません。お店や通販でゴムパッキンが販売されています。
直火式エスプレッソの淹れ方
ボイラーに水を注ぐ
まずボイラーに水を注ぎます。
もし抽出を早くしたい方は、あらかじめ沸かしておいたお湯を注ぐと良いでしょう。しかしお湯を注ぐと本体が熱くなるので、触るときに気を付けてください。
- 【!危険!】水位は圧力弁より下にしてください
この時、必ず守ってほしいことがあります。それは水位が圧力弁より下になることです。圧力弁より上に水位が来ると、水が邪魔をして気圧が逃げられなくなります。つまり安全装置が働かないという非常に危険な状態になるのです。必ず水位には気を付けるようにしましょう。
コーヒー粉を詰める
水を入れたら、ボイラーにバスケットを装着します。
そしてバスケットにコーヒー粉を入れます。この時に粉をならして、手で軽く粉を抑え固めると上手く抽出されます。もしダンパーをお持ちの方は、ダンピングするとなお良いでしょう。
減量フィルターを使う方は、この固めた粉の上においてください。
サーバーを装着して、準備完了!
そして、最後にサーバーを装着して終わりです。サーバーは圧力が漏れないように、しっかりと捻じ込んでください。
コンロで沸かす
全ての準備が完了したらコンロで沸かします。もしコンロにおいてみて安定しない場合は、五徳などで調整してください。
- 【注意】火力は「弱火」火の強さは、弱火にしましょう。
強火だと、圧力が急騰する恐れがあります。また火元に近い底部の熱湯と、遠い上部の水で、温度に差が出てしまい上手く抽出できないことがあります。弱火でじっくりお湯全体を沸かすことが、美味しいコーヒーへの近道です。 - 【!危険!】蓋を閉めて沸かしてください
サーバーの上の蓋は必ず閉じた状態で抽出してください。
突沸や圧力が強い場合、抽出口から勢いよく熱いコーヒーが噴出します。このとき蓋をしていなければ、近くにいる人間に掛かってしまい、火傷する恐れがあります。蓋は安全のため閉じるようにしてください。
数分経って水が沸騰すると、コーヒーが噴出し始めます。
その後、「ボコッ!!ボコッ!!」と鈍い沸騰音が聞こえたら、お湯がサーバーに上り切った合図です。火(熱源)を止めてください。これで抽出完了です。
- 【!危険!】空焚きしないでください
「ボコッ!!ボコッ!!」と音が鳴ってからも火を焚き続けると、空焚きの状態に陥ります。これは安全上そして器具の損傷の恐れから、非常に危険です。抽出が終わったら、まず火を止めましょう。
カップに注ぐ
最後に直火式エスプレッソを傾けると、上部サーバーからコーヒーが流れ出ます。これでカップに注げば、直火式エスプレッソで淹れたコーヒーが飲めます。
- 【注意】火傷に気を付けてください
抽出直後の直火式エスプレッソは、直接火にかけていたため非常に熱いです。特に、金属の部分に触れると火傷する可能性があるので、取り扱いには気を付けてください。
またプラスチックの取っ手も、状況によっては熱くなることがあるので、熱い場合はタオルやミトンで持つようにしましょう。
後片付けの方法
直火式エスプレッソの後片付け、ただコーヒー粉を捨てて洗えば良い……わけではありません!ここにもちょっとしたポイントがあります。見ていきましょう。
まずは冷まそう
抽出直後の直火式エスプレッソはお話しのとおり、非常に熱いです。そのため、熱さが冷めるまで待ちましょう。すぐ片づける必要がある場合は、冷水を掛けてあげると良いでしょう。
コーヒー粉を捨てる
バスケットに残ったコーヒー粉を捨てたいのですが、圧力で固まって意外と取れにくいのです。そんな時は、スプーンでコーヒー粉を掘り起こすように捨てるとお勧めです。
バリスタが使うノックボックスのように、バスケットを振り下ろしてコーヒー粉を捨てようとすると、大概の確率でコーヒー粉が飛散します。そうなっては折角の簡単な直火式エスプレッソなのに、後片付けが手間取ってしまうので避けた方が良いでしょう。
洗剤を使わず、水で濯ぐ
通常、使い終えた器具は洗剤で洗いますが、直火式エスプレッソは違います。直火式エスプレッソは基本的に、スポンジや洗剤は用いずに「水ですすぐ」ことが推奨されています。説明書にも書かれています。
理由はコーヒーオイルと香りを器具に残すことで、金属臭を抑えるだけでなく、使い慣れたコーヒー豆に慣れさせるという目的もあります。しかし汚れが酷いときやカビが発生した場合は、ちゃんと洗ってあげてください。
数十回と使っているうちに、使うコーヒー粉・コーヒーの濃さなどに応じて、各々個性のある香りがついてきます。こうなると、自分に合った専用の器具の完成です。
家で簡単にエスプレッソを飲んでみよう
もともと直火式エスプレッソは名前が示すように、家で手っ取り早くエスプレッソを飲むために存在する器具です。そのため、水とコーヒー粉をセットして沸かすだけと、そのシンプルさが特徴です。
もちろんマシーンで抽出したエスプレッソには敵いませんが、家でも手軽にエスプレッソを飲んでみる生活はいかがでしょうか。