コーヒーには、産地や港の名がついているコーヒーがあるのをご存知でしょうか。その中には特別な地域で作られたものだけに与えられる名前があるのです。今回は銘柄の総称「アペレイション」についてご紹介します。
アペレイションについて
アペレイション(Appellation)とは原産地呼称制度のことを指し、産地の伝統を守り、特定の地域で栽培され、収穫されたコーヒーの品質を認証する制度のことを言います。
アペレイションは、フランスワインやイタリアワインの原残地呼称制度を手本として、コーヒーにも導入されたと考えられています。
代表的なアペレイションコーヒー
ハワイコナ
ハワイコナ(Hawaii Kona)は、ハワイ島のコナ地区で栽培されているコーヒー。フアラライ山、マウナロア山という火山エリアで生産されたコーヒーのみが「ハワイコナ」と名付けられます。
火山性の肥沃な土壌と、昼と夜の寒暖差が生み出す花のような香り、柔らかな酸味、心地よい苦みが特徴です。
モカイルガチェフ
モカイルガチェフ(Moca Yirgachef )は、エチオピアイルガチェフ地区で栽培されているコーヒー。標高2,500mに位置する、肥沃な黒土の限られたエリアで生産されたコーヒーだけが「モカイルガチェフ」と名付けられます。
エチオピアコーヒーの中でも高品質で、爽やかな甘い香り、まろやかな酸味が特徴です。
モカマタリ
モカマタリ(Mokha Mattari)は、イエメン北西部のバニーマタル地方で栽培されているコーヒーです。標高2,000m以上の内陸山岳地方の段々畑で生産されたコーヒーだけが「モカマタリ」と名づける事を許されています。
モカマタリは、イエメン産コーヒーの中でも最高級の銘柄で、独特の香味はワインのようだと表現されるほど、柔らかな酸味と芳醇な香りが特徴です。
アペレイションの利点
コーヒーのアペレイションは、コーヒーの産地ごとの差別化やブランディングができ、コーヒーをより特別なものへと変化させる力があります。今現在でもスペシャルティコーヒーやプレミアムコーヒーなど、地域や農園に限定したコーヒーを楽しむ消費者が増えつつあります。アペレイションが広がると、生産者の生活向上にもつながる可能性があります。
アペレイションの欠点
アペレイションを受けるためには、生産農家が定められた栽培方法を守り、高品質なコーヒーを安定的に生産しなければなりません。コーヒーの収穫量はその年の気候により大きく変化し市場ニーズも常に変化し続けるので、消費者を満足するコーヒーを生産し続けることは、簡単ではありません。
銘柄の総称「アペレイション」とは まとめ
アペレイション(Appellation)とは「原産地呼称制度」と呼ばれる特定のコーヒー豆に与えられる呼称です。ハワイコナ、エチオピアモカイルガチェフ、イエメンモカマタリは、昔から指定地域で栽培収穫されたコーヒーのみに原産地を表示することをルールとしてきた、コーヒーの中でも古くからあるアペレイションを行ってきた産地だといえます。
最近では、ブラジルのセラード、コロンビアのウィラ、カウカ、ナリーニョ、サンタンデールの上質なコーヒー産地が認定されています。コーヒーの魅力高め、生産者支援にもつながる「アペレイション」制度、今度も認定が増え続けることは間違いありません。