コーヒーには様々な伝説があります。今回紹介するのは、コーヒーを広めた功労者と言われているゲマレディンのエピソード。さて、コーヒーはどのようにして世界に広まっていったのでしょうか。
イスラム教徒 シーク・ゲマレディン
この伝説の主人公は、イエメンの首都「アデン」に住むイスラムの教師(僧侶)、シーク・ゲマレディン。舞台は15世紀の1454年。ゲマレディンが、エチオピアのアビシニアに旅行した際の出来事です。
彼はこの旅行中に、エチオピアで“コーヒー”という飲料品が多くの人々に飲まれていることを知りました。ゲマレディンもエチオピアで人気のコーヒーという未知の飲み物を試してみました。すると、なんとも不思議な事に身体がリフレッシュし気分も良くなったのだそうです。
旅の終わりとアデンでの病
その後ゲマレディンは、旅行を終えアデンに帰国していきました。
ある日、ゲマレディンは体調を崩し酷い病をわずらうことになります。一向に良くなる気配のない病気にうなされた彼は、エチオピアで飲んだ不思議な飲み物“コーヒー”の存在を思い出したのです。「そういえば、コーヒーを飲んだ時に身体が楽になった。もしかしたら…」と考えたゲマレディンは、わざわざエチオピアからコーヒーを取り寄せたそうです。
体調の回復と思わぬ効果
エチオピアから取り寄せたコーヒーを飲んだゲマレディンは、みるみるうちに体調が回復していきました。それと共に、コーヒーには眠気をなくす効果があることに気がついたのです。
この効果に気づいたゲマレディンは、修道僧たちにコーヒーを勧めて回ったそうです。当時の修道僧たちは、夜中まで続く過酷な修行・祈祷の際に睡魔に襲われ大変だったそうです。
ゲマレディンへの祈り
これをきっかけに、イエメンではコーヒーが広く知られることとなり修道僧以外の人々も嗜好品としてコーヒーを楽しむようになったと言われています。ゲマレディンの実体験による宣伝効果が功を奏し、広まったコーヒー。現地の僧侶達は、コーヒーを広めてくれたゲマレディンに敬意を評し「ゲマレディンが常に楽園にいますように」と祈りながらコーヒーを飲んでいたそうです。
伝説か実話か
これらはコーヒーにまつわる伝説のような形で言い伝えられていますが、実話がベースになっているのでは?とも言われています。
フランスにある、国立図書館のアラビア語の文献には「法律家や学生ばかりか、夜歩く旅人、芸術家など日中の暑さを避けて夜働く人々は、もっぱらコーヒーを飲むようになった」と書かれてあります。ゲマレディン伝説の前後でイエメンにコーヒーが広まったことは事実のようですね。
コーヒーの歴史〜ゲマレディンが進めた飲料〜まとめ
いかがでしたか。コーヒーにまつわる様々な伝説の中でも、信ぴょう性が高いとされているゲマレディンのエピソード。カフェインについて知られていなかった当時でも、人々はコーヒーを“秘薬”のような形で効果を実感していたのでしょう。