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コーヒーの歴史26【コスタリカのコーヒー産業】

コーヒーの歴史26【コスタリカのコーヒー産業】

コーヒーの歴史を追っていく当コラム。今回は、コスタリカで行われたコーヒー産業に目を向けていきましょう。コスタリカはコーヒーを大量生産したブラジルとは、少々異なる性質のコーヒー産業を進めていったと言われていますが、どのようなものだったのでしょうか。

独立後の経済的自立

1821年に植民地支配から独立したコスタリカ。経済的な自立を達成するため、コーヒーの栽培に注力しました。コスタリカの最大都市サン・ホセにおいては、住民に土地とコーヒーの苗木を与えコーヒーの栽培を推し進めたのです。

ブラジルのコーヒー産業との違い

コスタリカは経済的な自立を目指しましたが、ブラジルのようなコーヒー生産は行いませんでした。コスタリカのコーヒー農園では、コーヒーだけではなく自給するための食糧作物も栽培していたのです。

この点が単一作物の栽培で経済を成り立たせようとしていた、ラテンアメリカ諸国やブラジルとは異なっていました。

高品質なコーヒー豆

コスタリカはブラジルとの“コーヒー豆低価格競争”を避け、高品質な豆を生産することに特化していきました。そのため、ヨーロッパではコスタリカのコーヒーが高い支持を得ていたのだそうです。

1920年代にはコーヒーの輸出量が激増。第2次大戦のあとは、ヨーロッパではなくアメリカを主要な輸出国として経済を回していきました。

技術革命によるコーヒー産業の進化

1970年代には、コスタリカ国内で技術革命が起こり、コーヒー産業は大きく変化しました。農業用の化学物質の導入、日陰樹(シェードツリー)の減少、生産性の高い新型品種の導入により、収穫が一気に増えていったのです。

コスタリカ国内でのコーヒー収穫量は、1ヘクタール当たり560kg程度の収穫だった1960年代に対し、1995年には1,400kgと3倍近くに跳ね上がりました。そのため、さらなる高品質なコーヒーを厳選して輸出することができるようになったのです。

コーヒー栽培の特徴

コーヒー豆_苗_種_栽培

コスタリカは、高品質な豆を生産するため、種の段階から厳選して苗を育てます。コーヒーチェリーの収穫はすべて手摘み。等級分けと言われるグレードの差別化をした後、自然発酵させ皮を取り除いていきます。その後天日干しで乾燥させることによって、コーヒーの生豆を完成させていきました。

当時、種の段階から厳選を行なう栽培は、他の諸国ではなされていない唯一無二の方法だったと言われています。

コーヒーバブルの中で高品質の豆を生産し続けたコスタリカ

現在でも評価の高いコスタリカのコーヒー。輸出しているコーヒー豆のおよそ半数ほどがスペシャリティコーヒーとして市場に出回っています。

質の高いアラビカ豆を生産するために、コスタリカ国内ではロブスタ種の栽培が禁止されています。また、コーヒー生産者の生活を保証するシステムを国が整えています。コーヒー生産者の生活を支えるこのシステムが、コーヒー名産国と言われる所以なのかもしれませんね。

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