コーヒーの歴史を追っていく当コラム。今回は、コロンビアのコーヒー産業にスポットを当てて見ていきましょう。
コロンビアにおけるコーヒーの起源
コロンビアにコーヒーが伝わったのは1730年前後。東部の都市“タバヘ”にある「サンタ・テレサキリスト教修道院」に植えられたコーヒーノキが、すべての始まりだとされています。
1800年半ばには、内陸部のサンタンデールでコーヒーの栽培が行われていましたが、他のラテンアメリカ諸国やブラジルには大きく遅れを取っていたようです。19世紀の終わりに差し掛かると、コーヒー需要が増したことによりサンタンデールの他アンティオキア、クンディナマルカなどで活発にコーヒー栽培が行われるようになりました。
コスタリカを目標とするコーヒー生産
周辺諸国に遅れを取っていたコロンビアは、ブラジルのように安い豆の生産を大量に行う農策を取りませんでした。当時、高品質の豆を生産することで評判の高かったコスタリカを目標とし、“コスタリカよりも良い豆をコスタリカよりも多く生産する”ことを目指していたのです。
コーヒー生産への乗り出しが早かったブラジルに生産量では勝てないことを知っていたラテンアメリカ諸国は、量よりも質の良いコーヒーを生産していったのです。
また、コーヒーだけの生産を行うモノカルチャー的な政策ではなく、コーヒー農園ではその他の食物も栽培されていました。
コーヒー産業の拡大と国際的な評価
19世紀末にコーヒー産業が拡大したコロンビア。20世紀には、国際的にコロンビアコーヒー豆の評価が高まりました。輸出産業としての地位を確立したコーヒー産業は、品種改良も頻繁に行われ生産性が高く、日光にも耐性のある「コロンビア」という新品種も開発されたのでした。
コーヒーの栽培に向いているコロンビアの環境
コロンビアの環境(地形、気候)は、コーヒーの栽培に適していると言われています。太平洋とカリブ海という2つの海に面していながら、森林にも恵まれた丘陵地帯であり、コーヒーに必要な要素である降雨量・日照時間・温度差の全てが兼ね備えられているのです。
南北に渡って走るアンデス山脈があることで、昼夜の温度差もあり、雨季だけではなく乾季があることで降雨量のバランスも取れています。このような恵まれた環境から、現在でも世界有数のコーヒー生産国として日本でも定番の銘柄となっています。
世界有数のコーヒー生産国となったコロンビア
日本では「エメラルドマウンテン」という高級豆が定番の銘柄となっているコロンビアコーヒー。その歴史を見ていくと、恵まれた栽培環境とコスタリカを目標とした高品質なコーヒー豆の生産が行われていたことがわかりました。多くの方がコーヒー関連の産業で収入を得ていることもあり、コーヒー業界の仕事は、コロンビアの国家的な産業と言っても過言ではありません。