東ティモールコーヒーは日本ではあまり知られていないコーヒーですが、近年、有機栽培のコーヒーとして注目を集まっています。今回は東ティモールコーヒーについて見てみましょう。
東ティモールコーヒー産地の特徴
東ティモール民主共和国は人口およそ113万人、国土面積は14,000平方キロメートルと日本の四国よりも小さい国です。
16世紀にティモール島はポルトガルの植民地となり、その後オランダの進出で西ティモールと東ティモールに分断。1975年にポルトガルより独立宣言しますが、インドネシアが東ティモールに侵攻し占領、多くの人が犠牲に。国連管理下で行われた住民投票で独立が選択され、2002年に正式に独立しました。
東南アジアに位置し、ティモール島の東半分とアタウロ島、ジャコ島、飛び地地区のオクエシで構成されています。環太平洋火山帯の一部で、国土の60%が山岳地帯です。気候は熱帯性ですが、雨季と乾季に分かれています。
東ティモールコーヒー栽培の歴史
1815年にポルトガルの総督よりアラビカ種のコーヒー苗が持ち込まれ、1860年までには周辺地域とコーヒーの取引が行われるように。その後1900年代前半には巨大なプランテーションが作られています。インドネシアが侵攻後、インドネシア軍の設立した会社が東ティモールコーヒーの取引を含めた貿易を独占。しかし、コーヒー産業は重要視されず放置され、介入がなかったことにより、農薬や化学肥料を使わない栽培方法が定着しました(農薬などにかけるお金がなかったとも言えます)。
米国の非営利団体の働き掛けで1994年にコーヒー貿易は解放され、2002年の独立前後からNGOや民間企業が多く参入し、コーヒー産業の発展を支援しています。2003年より日本のNPOピースウィンズ・ジャパン(PWJ)も生産者の支援を始めています。
東ティモールコーヒーの栽培状況
東ティモールの山岳地帯は、日中の強い日差しに比べて朝晩は冷え込み、温度差があります。年間降雨量も2000ミリ以上と栽培に適した環境です。国民の1/4がコーヒー生産に従事し、そのほとんどが小規模農家です。栽培から精製までの大部分を手作業で行っています。
さまざまな団体から栽培や精製の技術指導を受け、生産者の品質管理に対する意識も上がり、東ティモールコーヒーの品質は向上してきています。
総輸出量は約170トン(2012年)にもなり、2011年の輸出量40トンに比べ、急成長を遂げています。
東ティモールコーヒー豆の特徴
標高1,000m以下の産地ではカネフォーラ種(ロブスタ種)、1,000m以上ではアラビカ種を栽培しています。アラビカ種には、ティピカ種や香味ではやや劣るものの病害に強いハイブリッド・デ・ディモール種(アラビカ種とロブスタ種の自然交配により誕生)などがあります。
しっかりとした苦味にやわらかで穏やかな酸味が心地よく、ほのかな甘みが特徴です。おすすめ焙煎度合は、シナモンロースト〜ミディアムロースト程度で、浅めに焼いてアメリカンコーヒーとして楽しむのが一般的です。公式規格はありません。
波乱に満ちた歴史を思いながら、一度味わってみてはいかがでしょうか。