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コーヒーの歴史16【日本発の缶コーヒーと上島珈琲社】

コーヒーの歴史16【日本発の缶コーヒーと上島珈琲社】

コーヒーの歴史を追っていく当コラム。今回は、日本独特の文化、缶コーヒーが生まれた背景について紹介します。缶コーヒーの普及だけでなく、インスタントコーヒーを開発したのも実は日本人。手軽に楽しめるコーヒーを作ることに長けている日本の歴史を見ていきましょう。

インスタントコーヒーの開発

インスタントコーヒー

インスタントコーヒーを開発したのは日本人科学者の“加藤サトリ”と言われています。1899年に「真空乾燥」という手法を用いてインスタントコーヒーを開発した加藤サトリは、販売のルートを求めてアメリカに渡りました。

そして1901年のパンアメリカ博覧会において、「ソリュブルコーヒー」として世界初の水に溶けるインスタントコーヒーを発表したのです。

インスタントコーヒーの普及

インスタントコーヒーは、二度の世界大戦でアメリカ軍が愛飲したことにより世界中に広まりました。

日本では、戦時中コーヒーの輸入が激減していたこともあり、ユリの根や大豆を使った代用コーヒーが飲まれていましたが、戦後の1960年にインスタントコーヒーが発売され、家庭でも一般的に飲まれるようになったのです。

缶コーヒーの開発

缶コーヒーのメーカー

インスタントコーヒーに続き、日本では缶コーヒーの開発も行いました。1958年に外山食品から「ダイヤモンド缶入りコーヒー」が発売されたのが始まりだと言われています。

しかし、この「ダイヤモンド缶入りコーヒー」は売れ行きが伸びず、外山食品が倒産したことから実際に販売されていたかどうかは不明だそうです。

缶コーヒーとして発売が確認されているものの中で、最も古いものは1965年、日本橋の三越本店で販売した「ミラコーヒー」です。ミルクは入っていませんが、砂糖入りで当時80円の値段で売られていたそうです。

上島珈琲社の発売で大ヒット

缶コーヒーが市民権を得たのは、上島珈琲社が1969年に「UCCコーヒー ミルク入」を開発販売したことがきっかけとなりました。

この缶コーヒーは、“コーヒー牛乳”から発想を得て作ったもの。ミルクの割合がかなり強く、コーヒー初心者でも飲みやすい味だったそうです。コーヒーの苦味に、まだ抵抗があった層の人々にも受け入れられ始めた瞬間でした。

「UCCコーヒー ミルク入」は、1970年に開催された大阪万博の影響もあり、以降売上をどんどん伸ばしていきました。この缶コーヒーは、現在日本で発売されている缶コーヒーのプロトタイプ的存在だといえるでしょう。

インスタントも缶コーヒーも日本人が作ったものだった

現在私達が頻繁に口にする、缶コーヒーの歴史について見てきました。もとは西洋から流通してきた飲み物であるコーヒーは、日本人の手によって手軽に飲めるよう開発されていきました。

“甘いミルクコーヒー”として缶コーヒーが発売されたことは、今日までコーヒーが愛されるきっかけとなったと言っても過言ではありませんね。

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coffeemecca編集部

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