コーヒーが世界に普及するまでには、様々な出来事がありました。当初、現在私達が飲んでいるコーヒーとは全く違う楽しみ方がされていたコーヒー。今回は、コーヒーの起源、アラビア半島に普及した時期を見ていきましょう。
エチオピアで楽しまれていた“ボン”
コーヒー発祥の地とされているエチオピア。エチオピアでは、かなり古くから高原の一帯に生えていた野生の”コーヒーノキ”の種子が食用にされていたと言われています。エチオピアの人々はそれらコーヒー豆を「ボン」と呼び、基本的には鍋などで煮て食べていたようです。
お祝いの儀式で食べるコーヒー文化
現在でもエチオピアのある地域には、自分たちが飼っている家畜や子どもが産まれた際に、お祝いとしてコーヒーと大麦をバターで炒める儀式が残っているそうです。
アラビア半島で広まった“バンカム”
エチオピアで楽しまれていたボンは、やがてアラビア半島に伝わっていきました。ボンはアラビア語で「バン」と呼ばれるようになり、エチオピアとは異なった広まり方をしていったのです。それが、「バンカム」と呼ばれるコーヒーの原型。
食べ物から飲み物へ
バンカムは、バン(コーヒー豆)を乾燥させすり潰したものをお湯で煮出す飲み物です。説明だけみるとトルココーヒーのようにも感じますが、この当時は豆が焙煎されていなかったので味わいは大きく異なるでしょう。
こうして、コーヒーは食べ物から飲み物として嗜まれるようになったのです。
エチオピアからアラビア半島へ
アラビア半島にコーヒーが伝わったのは、イエメン人のイスラム律法学者、シーク・ゲマレディンがエチオピアに旅行にいったのがきっかけだという伝説が残っています。
イスラム教徒のゲマレディンは、エチオピアのアビシニアでコーヒーが広く普及していることを知り、自らも試してみたそうです。その際に感じたリフレッシュ感は、何にも例えがたいものだったとか。
体調の回復と覚醒作用の発見
ゲマレディンはイエメンに帰国後、病に倒れ体調を崩してしまいました。その際、イエメンで飲んだコーヒーの効果を思い出し、取り寄せたそうです。ゲマレディンがコーヒーを飲むとみるみるうちに体調が回復し、さらには眠気をなくす覚醒作用があることにも気づいたのです。
そしてゲマレディンは、深夜の修行中に襲われる睡魔と戦っている修道僧たちに、コーヒーを勧めて回ったそうです。この出来事がきっかけとなり、イエメンではコーヒーが広まったと言われています。
食用コーヒーから飲料コーヒーへ
エチオピアで食用として普及していたコーヒーが、アラビア半島で飲料品となるまでの歴史をみてきました。この段階では、私達が楽しんでいるコーヒーとまるで違う飲み物のようですね。この後も様々な出来事が起こり、少しずつ現在のコーヒーに近づいていったのです。
今回紹介したのはコーヒーの歴史のほんの一部。歴史の中には、まだまだ面白いエピソードがたくさんありますよ。