ローカルタウンで一目置かれる上質の空間
池袋から東武東上線で5分という立地ながら、都会の喧噪を忘れさせる街の雰囲気は、長年にわたって愛され続けている商店街の存在が大きいのだろう。大山駅を下車すると、活気溢れるアーケードの光景に、どこか懐かしい気持ちにさせられる。
大山駅臨時改札口を出てすぐのところに、あおい珈琲店はある。
木々に囲まれたシック色合いの外観、ドア越しに見えるコーヒー豆の硝子瓶に心惹かれる。
客のほとんどが地元の人であろうこの街の喫茶店の多くは、古くから変わらない佇まいで、飾り気の無いアットホームな店内とリーズナブルな価格の店が一般的だが、あおい珈琲店は他と少し違っている。
丁寧さと手作りの温かさが融合したような雰囲気は独特だ。几帳面に並べられたカップ&ソーサーが棚からこちらを見下ろしている。カウンターはきちんと整頓されているが、綺麗に洗ったボウルやコーヒーサーバーが目の前に伏せてあり、中の様子が垣間見られてほっこりとする。ソファこそ無いものの、落ち着いた空間がゆったりとした時間の流れを感じさせる。カウンター席の他には、円卓や複数名用の席があり、空いている好きな席を選ぶことが出来る。
自慢のブレンドは3種類。深煎り、中深煎り、中煎りとあるが、その中でも店名がついているあおいブレンド(中深煎り)は特に人気の様だ。やさしいほろ苦さとコクがありながら、すっきりとしていてさらさらと飲めてしまう。コーヒーの苦みや酸味が苦手という人にもお勧めしたい。
メニューを見てみると、ブレンドされている豆の種類が紹介されており、それぞれの違いをより深く知ることが出来る。
日替わりの自家製スイーツも絶品で、常時2種類。お気に入りのクラシック・ショコラは、刻んだチョコレートと席に運ばれる直前にしっかりと泡立ててくれる生クリームのトッピングがますますケーキを引き立ててくれる。常連客がよく注文しているプリンも気になる一品。
カップやケーキ皿も、昔ながらの店名ロゴが入ったデザインとは違い、繊細な絵柄の描かれた陶器であることがより一層店のこだわりを感じさせる。レジ横の一角にある販売スペースでは、厳選された陶器の商品やコーヒー器具を購入することが出来る。
食器を片付ける流し台の音、新鮮な豆を挽く音、静かに流れる音楽に耳を傾けながら、読書など自分の時間を楽しみたい。仕事帰りの時間帯に一人で立ち寄る人がいるのも、1日の終わりに自分をリセットするためにここで飲む一杯のコーヒーがちょっとした大人の贅沢を感じさせるからだろう。
レジで会計を済ませ店を出る時に、店内の奥にいても必ず立って挨拶をしてくれるマスターの人柄がにじみ出る、ワンランク上の珈琲店だ。
自家焙煎珈琲豆処あおい珈琲店 店舗情報
住所:東京都板橋区大山金井町38-13
移動時間:東武東上線大山駅下車徒歩1分
営業時間:9:00〜20:00
定休日:日・祝
wifi:なし
電源:なし
喫煙:禁煙