懐かしくてあったかい裏路地喫茶
池袋駅から北へ向かうこと数分、迷路の様に目印のない路地にひっそりと佇む喫茶店がある。
VAIROCANA 毘瑠奢那(びるしゃな)という、いかにも喫茶店らしい名前と店構え。キューブ型の立体的な看板も、ノスタルジックな雰囲気。
入ってみたい。
が、日中のこの時間は、ガラスのドアが逆光でこちらからは中の様子が見えない。どんなお店なのだろう、と通り過ぎた店の前を引き返していると、40代のサラリーマンが二人、外へ出て来た。その一瞬に、ふわりと店の賑わいを感じ、私もドアを押し開けた。
チリリーンと、可愛らしい音のベルが鳴る。
席を案内されないので、どうやら自分で選んでいいスタイルのようだ。カウンター席にするか、テーブル席にするか迷ったが、カウンターには常連客が訪れるようだったので、今日は一番隅っこのテーブル席にさせてもらおう。
ランチタイムのピークを過ぎた店内は、落ち着きを取り戻しつつあった。
「灰皿要りますか〜?」と、朗らかな声のおばあちゃん店員さん。要らないと返事をすると、隣のテーブルから既に運び始めていた手を戻した。
差し出されたメニューを開くと、手書きのやさしい文字が見開き二面を埋め尽くしていた。食事のメニューは、どれもリーズナブルで、喫茶店を代表するようなラインナップ。
ここはひとつ、ナポリタンにしてみるか。
5分程すると、熱々のお皿が運ばれてきた。湯気で写真が撮れないほどだ。
そして量が多い。男性客が多いからなのか、ボリューム満点。マッシュルーム、タマネギ、ピーマン、ハムなどが入っている。太麺のパスタと薄く切った具が、ケチャップに絡み合って、見た目も味も王道のナポリタン。
ほっとする、というか、感動する、というか、偶然出会ったこの味が今日は格別に懐かしく感じた。
芳ばしい香りのコーヒーは、すっきりとした味わい。ナポリタンと同様に、こちらも熱々。
昔は酸味のあるコーヒーは好きじゃなかったのに、飲むほどになぜだか悪くないと思うようになった。きっと、古い喫茶店に多い味だからだろう。それに、どこかの店主が、「酸味がコーヒーのおいしさを引き立たせてくれる」とも言っていたから。
この店は、お客さんが良い。みんなよく、おばあちゃん店員と挨拶している。
料理が運ばれてきた時の「ありがとう」、帰る時の「ごちそうさま」やお辞儀。また来たくなる理由が、この店にはたくさんある。
さて、メニューの端にある「モーニングセット 500円」の文字が、愛知県民としては気になるところ。
内容も時間も書いていないので尋ねてみると、「10:30開店で、11:00にはランチが始まるから」との事。ほとんどやっていないではないか!
次回は、幻のモーニングセットを食べに足を運びたい。
VAIROCANA 毘瑠奢那 店舗情報
住所:東京都豊島区池袋2-63-4 光映ビル 1F
移動時間:池袋駅北口より徒歩5分
営業時間:月〜金10:30〜19:00(18:00ラストオーダー)
定休日:土日祝
wifi:なし
電源:なし
喫煙:全面喫煙可
HP:なし