コーヒー機器のメーカーとして有名なメーカー「メリタ」はドイツで誕生しました。メリタは、主婦の考案から独自のペーパードリップシステムを開発しました。ペーパードリップシステムにおいては、他者の追随を許さない確かな技術をもつメーカーとも言われています。
では、一体どのようにしてメリタのペーパーフィルターが誕生したのか、メリタ100年の歴史についてお話したいと思います。
歴史は100年前のコーヒー抽出方法から
現在では当たり前のようにある淹れ方”ペーパードリップシステム”は、およそ100年前の1908年、 ドイツの一都市ドレスデンに住む主婦、メリタ・ベンツによって考案されました。
メリタ・ベンツの日課
メリタは愛する夫ヒューゴのため、おいしいコーヒーを淹れるのが日課でした。当時、家庭でのコーヒー抽出は布や金網で行い、手間がかかる上に不衛生だったそうです。カップにカスが入ってしまい、 半分飲んでは新しく継ぎ足し、カスを流しながら飲むという効率の悪さでした。
現在のように誰でも手軽においしいコーヒーを飲めるわけではなかったのです。
試行錯誤の日々
タオルやその他の布地を使った実験を繰り返すものの、なかなか思うようなコーヒーを淹れることができませんでした。上手く濾せたように見えても、渋みが増していたり味がなかったりしてしまうのです。
きっと何かいい方法があるはず…とメリタは自分に言い間かせ、「世の中には常に自分よりうまくやれる賢いやつがいる」という父の言葉を思い出しながら、何度も実験を重ねる日々は続きました。
ペーパードリップシステムの誕生
誰もが簡単に淹れることの出来るコーヒーを、そして手軽においしいコーヒーを夫に飲ませてあげたい。毎日そう想い思考錯誤していたメリタ・ベンツは、ある方法を考え出しました。小さな穴をいくつか開けた真鍮製の容器(後のフィルター) に1枚のろ紙とコーヒーの粉をのせ、お湯を注ぐ方法を考え出したのです。
この方法なら、コーヒーの粉がカップに入ることもなく、ゴミ捨ても簡単に出来ます。しかもコーヒーの余計な雑味をろ紙が吸うので、味もおいしい。これが、世界で最初のペーパー・ドリップシステムの誕生です。
ペーパードリップを世界に広めたメリタ
そのシステムはドイツ国内で瞬く間に広まり、4年後の1912年には、ペーパードリップに使用するドリップペーパーを生産するための工場を建設するまでに成長しました。
その後、事業を引き継いだ息子のホルスト・ベンツは、もっと使いやすいシステムにならないかと改良に挑んだ結果、円錐形で溝の付いたのフィルターとペーパーを完成させたのです。
この淹れ方は、1937年ドイツで特許を取得しています。その形は現在にいたっても、当時の形状をほとんと変えずに残っています。
コーヒーメーカー「メリタ」の歴史 まとめ
メリタは、当時のペーパードリップという新しいシステムを開発した会社であるため、現在でも家庭向けコーヒーメーカーにはドリップ式のコーヒーを淹れるためのものを主に販売しています。
ドイツの主婦によるひらめきから1年待たずに大成功を収めたメリタ社は、初のコーヒーメーカー製造者。コーヒーと言えばメリタと言っても過言ではないくらい、深い関わりがあることが分かります。
今ではコーヒーを淹れるのに当たり前となったペーパードリップシステムを発明した、メリタの歴史。知名度・評価ともに非常に高いコーヒーメーカーのひとつです。