コーヒーにおける“酸味”と“苦味”は焙煎具合を調節することにより変化していきます。同じコーヒー豆でも、浅煎りと深煎りでは酸味・苦味ともに全く違うものになります。ここでは、焙煎によって変化していく“酸味”について詳しく見ていきましょう。
コーヒーの酸味について
コーヒーの酸味や苦味は焙煎により発生し、その風味を変化させていきます。他の果実と同様、コーヒーの生豆にはクエン酸などの成分が含まれていますが、私たちが飲んで感じる“酸味”はこれらの酸味によるものではなく、焙煎し化学反応することによって変化する成分による酸味です。
酸味の浅煎り、苦味の深煎り
焙煎の度合いについて広く一般的に言われているのが、浅煎りは酸味を感じやすく、深煎りで苦味を感じやすくなるという点です。これは焙煎によってコーヒー豆に熱を加えていくことによって“酸味の成分が分解されていくため”と言われています。
8段階の酸味
それでは、酸味の変化を8段階の焙煎具合に分けて見ていきましょう。この酸味の変化を理解することで、自分好みのコーヒーを発見することに繋がるかもしれません。
サードウエーブの潮流「ライトロースト」
本格的な焙煎に入る前に、豆の水分を抜く“蒸らし”という作業を終えて数分程度の豆が「ライトロースト」と呼ばれる焙煎具合です。今まではライトローストのコーヒー豆が飲まれることはなかったのですが、北欧系が人気を集めるようになってから少しずつ一般の方も楽しむようになってきました。
コーヒーらしい苦味は全くなく、コクもありません。酸味主体の味わいに仕上がっており、アメリカンコーヒーのような薄い色をしています。
さっぱりとした味わい「シナモンロースト」
ライトローストよりも2〜3分ほど焙煎を進めた状態がシナモンローストです。ライトローストよりも酸味は弱まりましたが、全体的にさっぱりとした味わいです。コーヒーとはいえないほど物足りないくらい苦味が感じられません。この段階でもほとんどを酸味が占めている状態です。
ほどよい酸味寄り「ミディアムロースト」
ミディアムローストは薄いアメリカンを淹れる際に最適と言われています。アメリカンコーヒーの味を想像すれば分かるように、苦味は少なく酸味が強くなっています。しかし、シナモンローストのときに比べてかなり“コーヒーらしい”テイストに近い焙煎具合です。
とはいえ、まだまだ酸味主体の味わいなのでミディアムローストとして仕上げるためには酸味が強すぎない豆を選ぶ必要があるといえるでしょう。
酸味と苦味の良バランス「ハイロースト」
コーヒーとして最もポピュラーな焙煎具合がハイローストです。多くの方がコーヒーと言われて想像するような、苦味と酸味のバランスが整った焙煎具合です。ハイローストまで焙煎すると際立った酸味が影を潜め、徐々にコーヒーらしいコク深い苦味を感じられるようになってきます。
シティロースト
中深煎りとも表現される焙煎具合、シティロースト。多くのコーヒー豆に適用できる焙煎具合として、日本でも好まれています。浅煎りの時のような酸味は感じられず、使う豆によっては苦味の方が強く感じます。
焙煎による酸味の変化まとめ
コーヒーを飲んだ時に感じる酸味は、焙煎の度合いによって大きく変化していきます。個人の好みにもよりますが、「酸味の味わえるコーヒーが飲みたい」という場合は、ミディアムローストまでに留めておくことをおすすめします。コーヒーへの造詣を深め、より楽しいコーヒーライフを送りましょう。