エスプレッソ(espresso)とは、イタリア発祥のコーヒーです。細かく挽いたコーヒーの粉に、水蒸気で圧力をかけて短時間で抽出したコーヒーのことを指します。
蒸気圧を使って素早くコーヒーを抽出することから、英語の「EXPRESS(急行)」と同じ意味を持つ、イタリア語の「ESPRESSO」が語源になったといわれています。
普通のカップの半分ほどの大きさのカップで提供されるため、デミタスとも呼ばれています。demiは半分、tasseはカップという意味です。
コーヒー豆の発見と伝搬
まず、コーヒーはどのように発見され、広まっていったのでしょうか。
コーヒーの起源は、エチオピアの羊飼いが初めて口にしたという説が有力です。エチオピアの草原で放牧生活をしていた羊飼いが、木になっている赤い実を食べたところ、爽快な気分になりました。羊飼いはその赤い実を食べ、日々元気に働いていました。
その様子を、たまたま通りかかったイスラム教の僧侶が見て、その不思議な力に驚き、赤い実を寺院に持ち帰りました。仲間の僧侶に食べさせたところ、眠気が取れ爽快な気分になることから、魔法の豆として、愛用されるようになったそうです。
その後、コーヒー豆はイスラム教の僧侶達を通して全土に広がっていきます。
コーヒーの誕生
1511年にはエジプトのカイロに世界初のコーヒー店が作られます。1554年にはトルコの首都コンスタンチノーブルに「カヴェー・カネス」というコーヒー店が誕生します。
この当時のトルコでは、コーヒー豆を煎り、それを石うすで挽いて煮だして飲む方法が広く親しまれていました。これがトルココーヒーです。このトルココーヒーが現在のコーヒーの原点になります。
そして、イスタンブールにきていたイタリアやウィーンの商人たちにより、ヨーロッパ各地に広まっていきました。このトルココーヒーはイタリアでも広く親しまれるようになります。
エスプレッソの誕生
1806年、イギリス製品をボイコットするためナポレオンが発令した大陸封鎖令により、フランス植民地からコーヒー豆の輸出規制がなされました。
このことがきっかけで、カフェインを含まないチコリコーヒー(チコリや穀物を焙煎した、コーヒー風味の飲み物)など多くの代用品や、新しいコーヒー飲料がうまれました。
また、これが原因になりイタリアではコーヒー豆が急激に不足し、潰れるカフェも増えました。そんな中、ドイツの文豪ゲーテもよく立ち寄ったとされる、ローマの「カフェ・グレコ」の3代目サルヴィオーニは、苦肉の策としてカップの大きさを3分の2にして、コーヒーの量を減らし、価格を下げるという策で困難を乗り切ろうと考えました。
その結果、小さめのカップでコーヒーを飲むというスタイルが受け入れられ、確立しました。これが現在のデミタススタイルの起源と言えます。
そしてカップの中身のエスプレッソは、デミタスカップの誕生から1世紀ほどたった1901年、抽出速度を追い求めたベゼラ社の創始者ルイジ・ベゼラによって開発されたエスプレッソマシンが起源になり、確立されました。
エスプレッソの起源まとめ
最近は日本のコーヒーチェーン店で飲めたり、エスプレッソ専用のマシンが発売されていたり、エスプレッソが身近になっています。エスプレッソの起源を調べると、意外な歴史背景がありました。
エスプレッソは、イタリア人のコーヒーに対する情熱があったからこそ誕生することができたのです。さまざま改良を経て、現在のエスプレッソの形になっていったと思うと感慨深いものがあります。