ハンドドリップなどを自宅で楽しむ人も増え、最近では焙煎前の生豆を購入できるお店もあります。今回はコーヒー生豆とは何か、その焙煎方法や保存方法などをご紹介いたします。
コーヒー生豆とは
「生豆」は一般的には「きまめ」と読みますが、コーヒー業界では「なままめ」と呼ばれています。
生豆とは焙煎される前の生のコーヒー豆のことで、コーヒーの果実を精製(果肉とパーチメント(内果皮・種皮)を取り除く)したものです。コーヒー豆のほとんどは生豆の状態で生産地から輸出され、入ってきた生豆はロースター(焙煎業者)やコーヒー豆販売業者などで焙煎され市場に出回ります。
数としては多くありませんが、自家焙煎を行う一般消費者に生豆のまま販売されることもあります。
コーヒー生豆の分類
コーヒー生豆は収穫された年度により分類され、毎年10月1日が収穫年度初日とされています。
二ュークロップ(グリーン)
その年度に収穫・出荷された新しいコーヒー豆。
パーストクロップ
前年度に収穫されたコーヒー豆。
オールドクロップ(オールドビーンズ)
前年度よりも前に収穫されたコーヒー豆。
ニュークロップとオールドクロップの違い
ニュークロップは含水量が12~13%と多く、濃い緑色で表面はつややかな光沢があります。焙煎は難しいですが、豆本来の味と香り、個性が楽しめます。
パーストクロップ(含水量10~11%)やオールドクロップ(含水量9~10%)は時間の経過とともに水分が抜け、緑色は薄くなり黄褐色になっていきます。味は平凡になりがちですが、焙煎し易く、角が取れたマイルドさが楽しめます。
ただし、コーヒー豆の産地や精製法によっても含水量や色調は異なるため、見た目だけで判断することはできません。
コーヒー生豆の焙煎方法
生豆の焙煎に用いられる熱源はガス・炭火・電気があります。多くの焙煎業者はガスを用いた電動ロースターで行っており、主に直火式・熱風式・半熱風式の3つの方法があります。
直火式
ガスバーナーの炎の熱をコーヒー生豆に直接当てて焙煎するために、釜にはパンチ穴が開いています。香ばしい香りとシャープな後味が特徴です。焙煎がしっかりと行えるとコーヒー本来の風味を一番引き出せると言われていますが、焼きムラができ易く火加減が難しい方法です。
一度に焙煎できる量は少なくなります。
熱風式
バーナーの火で発生させた熱を、外から釜の中に送り込み焙煎します。やわらかくマイルドな味のコーヒーになります。温度のコントロールがしやすく、一度に焙煎できる量が多く短時間で焙煎できるため、多くの量販店で採用されています。
半熱風式
構造的には直火式と同じですが、豆に直接火が当たらないように釜が穴のない鉄板になっています。釜の下からバーナーで加熱し、同時に釜の後方から熱風を送り込みます。直火式よりはやわらかく、熱風式よりはコクが出ます。焙煎できる量は熱風式ほどではありませんが直火式よりは多くなります。
自宅で焙煎をする場合は、直火式の手網焙煎、アルコールランプの火にかざしながら行う手回し式焙煎、電動式の熱風焙煎などの器具があります。
コーヒー生豆の保存方法
通気性の良い厚手の紙袋や布・麻袋などに入れ、高温多湿や直射日光のあたる場所を避け、風通しの良い場所で保存します。
どうしても高温多湿を避けられない夏場は、匂い移りがないよう密閉容器に入れ替えて冷蔵庫で保存することも可能です。結露を防ぐため小分けにし、使う分だけ出すようにしましょう。冷蔵庫から出して使用する際は、常温に戻るまでは容器の蓋を開けないようにすることで結露を防げます。
状態が良ければ3年ほどは保存可能です。ときどき、ザルなどに出してかき混ぜるとより良いでしょう。
コーヒー生豆の焙煎方法・保存方法まとめ
生豆の種類や焙煎方法によっても様々な味わいが楽しめるようです。焙煎した豆よりは保存が効くので、“自家焙煎”という新境地開拓も案外難しくはないかもしれません。