ペーパードリップは最もポピュラーな抽出方法ですが、美味しく抽出するには技術も必要です。そして、技術を磨こうとするあまり、他の部分には盲目的になってしまうことも。
コーヒーの抽出は技術だけではありません。今回は技術以外の側面にも目を向けていこうかと思います。まずは以下の記事にも目を通していただけると幸いです。
環境を整える
自分に合ったドリップケトルを使う
皆さんが使っているドリップケトル、使い心地はいかがでしょうか?持ちづらかったり、重かったりしませんか?
高価なケトルは丁寧に作られていますが、だからといって美味しいコーヒーを入れることができるとは限りません。一番重要なのは、「自分が使いやすいかどうか」ということです。
ケトルを購入する際はぜひ一度、店頭に並べられている商品を手に取ってみてください。使いやすいかどうか実際に触れてから検討することを強くオススメします。また、喫茶店のマスターにオススメの器具を参考に聞いてみるのも良いでしょう。
抽出の基本は高さの調整&良い姿勢
抽出する時「悪い姿勢」になっていませんか?
例えば使用するテーブルが低いと、腰を曲げて抽出しなくてはいけません。そのような悪い姿勢では、習得した技術も十分に発揮できません。コーヒーを淹れるその瞬間は、集中してコーヒーと向き合うことで美味しさをより引き出すことができます。台などを用いて、自分に合った高さに調整しましょう。
手元を明るく見えやすく
また、視界の暗い状態ではコーヒー豆の状態を見ることができません。そのためクリップライトなどを用いて、コーヒー豆が見えやすいようにすることも重要です。
コーヒー豆を見やすくするだけで、お湯の落とす位置や蒸らしの状態の確認がわかりやすくなり、格段に抽出の精度が変わります。
まとめて抽出する
ペーパードリップは少ない豆で抽出しようとすると、蒸らしやお湯の注ぎ方が難しくなり、求められる技術が高まります。
これは逆にとらえると、料理と同じで大量に作ってしまったほうがブレは少なくなり美味しくなるということです。
30g以上の豆を使用して抽出すると味のブレが比較的少なくなり、美味しいコーヒーを抽出しやすくなります。
豆の分量を考える
「一杯につき10g」という考え方に囚われていませんか?
決して一杯10gでなくても構わないのです。どちらかと言えば10gは、一杯分のコーヒーを抽出するために「必要最低限の量」ととらえると良いかもしれません。実際に一杯あたり20g近い豆を使用する喫茶店もあります。
少し多めが美味しい!?
一般的にドリップにおいては、最初に抽出されるコーヒー液が最も美味しいと考えられています。実際、コーヒーは抽出を続けていくほど、どんどん薄くなり雑味などが増えていきます。
そのためいつもの分量に3~5gだけ増やすだけで、味が改善されたりすることもあります。
挽き具合を考える
豆や好みに合わせて粗さを変える
コーヒー豆の挽き具合は、コーヒーの味そのものに大きな影響を及ぼします。細かさと味の関係については、「お湯がコーヒー粉と触れる表面積」と「お湯の流れる速さ」を考えるとわかりやすいかもしれません。
- 粗め
表面積が少なく抽出速度が速いため、あっさりとした味になります。華やか・爽やかなテイストを引き出したいときにオススメです。 - 細め
表面積が大きく速度が遅くなるため、濃い味になります。コクや苦みを引き出したいときにオススメです。しかし注意すべき点として、味が出やすい反面、雑味が出やすくなります。
細かすぎると目詰まりの原因に
ペーパードリップの挽き具合には「粗挽き~細挽き」と書かれていることが多いです。しかしスーパーや専門店の店頭には「極細挽き」という粉も売られています。「極」という単語は良い響きではありますが、ペーパードリップにはオススメできません。
その理由として、細かすぎるあまり目詰まりの原因になりうるためです。目詰まりを起こすと、ただでさえ過剰に抽出され気味の細挽きのコーヒーが、過剰に抽出され雑味と苦みで溢れたコーヒーになってしまいます。
お湯の温度はどうか?
適正な温度は70℃~90℃前後
コーヒーを抽出するとき、沸騰したてのお湯を用いていませんか?
沸騰したてのお湯はドリップには適さないといわれています。温度が高すぎてしまうと、過剰に抽出されてしまい、適度な美味しさを引き出すことができないからです。小見出しにあるように、理想の温度は70℃~90℃です。
温度で味が変わる
コーヒー豆の挽き具合と同様、コーヒー豆や好みに合わせてお湯の温度も調節すると、美味しいコーヒーに仕上がる一手になります。
- 低温:70℃~75℃
低温の場合は軽やか・まろやかな風味に仕上がります。 - 中温:75℃~85℃
迷った場合は、80℃で抽出すると一番良いでしょう。 - 高温:85℃~90℃
「ストロング」なコーヒーに仕上がります。また濃く抽出されるため個性が強調されやすくなります。
お湯の太さで調整する
コーヒーの味を変える一手として、抽出する時に温度とともに考慮していただきたいのが「お湯の太さ」です。実際に試してみると一目瞭然ですが、お湯が太いと抽出速度が速く、細いと遅くなります。
抽出速度もコーヒーの味を決める大きな一手にもなりうるのです。
- 太い湯で抽出
太いとコーヒーの抽出速度が速くなるため、薄めで飲みやすい味に仕上がります。 - 細い湯で抽出
細いとじっくりと味が抽出されるため、繊細な味に仕上がります。また濃く抽出される傾向にあります。
ひと手間で、美味しいコーヒーになるコツ(ペーパードリップ編)まとめ
抽出する環境やお湯、コーヒー豆など些細な部分に気を使うだけで、実は抽出技術が高くなくてもコーヒーの味をある程度底上げすることができます。
ペーパードリップは、簡単そうで意外と深い要素を持っている抽出方法です。自分で様々な問題点などを見つけ出し改善するだけで、味がかなり改善されることもあります。
より美味しいコーヒーを楽しむためにも、今一度ささいなことから見直してみてはいかがでしょうか?