コーヒーの歴史を追いかけていく当コラム。今回は、ヨーロッパにコーヒーが広まった当時に設立された、コーヒーハウス(カフェ)について見ていきます。
当時、各地各国に設立されたコーヒーハウスの中で最古と言われている場所はヴェネツィアにあります。
コーヒーハウスの役割
コーヒーハウスは、オスマン帝国の首都イスタンブールを中心にできた、コーヒーを提供する場所です。現代で言う“カフェ”のようなものですが、ただコーヒーを飲むためだけを目的とはしていません。
社交場として、集会場として
多くのコーヒーハウスは「社交場」としての役割を持ち、人々はそこで交流を深める他、世間の情報について交換したり論議を行ったりしていたそうです。
特に、イギリスロンドンにオープンしたコーヒーハウスは、多くの人々のたまり場となり、最終的には政治結社の集会場のような役割まで担っていたのだとか。
ヴェネツィアに広まったコーヒーハウス
ヴェネツィアにコーヒーが広まり、コーヒーハウスが台頭し始めたのは17世紀から18世紀頭にかけてのこと。オスマン帝国(イスラム世界)からヨーロッパへの交通の中心として栄えていたため、ヨーロッパで最初にコーヒーハウスができたのではないかと言われています。
オスマン帝国がヨーロッパ征服を行なう上で重要な拠点であったため、文化の交流地点として機能していたのでしょう。ヴェネツィアには数多くのカフェが乱立し、実に様々な人間が訪れるようになりました。カフェは社交場の代わりとなり賑わいを見せましたが、そこにはコーヒーを楽しむ人以外も多く滞在するようになったのです。
売春・賭博の現場に
実は、ヴェネツィアのカフェでは売春や賭博が横行していたのです。そのため政府は度々カフェに対する規制を行いました。国内全体の“カフェ撲滅作戦”が2度も実施されるほどヴェネツィアのカフェの状況は荒れていましたが、市民の抵抗によりカフェ文化は生き残ったそうです。
カフェ・フローリアン
この当時オープンしたコーヒーハウスの中で、未だにカフェとしての営業を続けている場所があります。それが、1720年にオープンした「カフェ・フローリアン」です。カフェ・フローリアンは先述の“カフェ撲滅作戦”や、あちこちに乱立するコーヒーハウスとの経営競争に勝ち残り現在でも営業を続けています。
ヨーロッパ最古のカフェとして、コーヒー好きの間だけではなく観光客も立ち寄るスポットとなっているようです。もしもヨーロッパを訪れる機会があったら、伝統あるコーヒーハウス「カフェ・フローリアン」は訪れてみるべきです。
未だ営業中の最古のカフェ「カフェ・フローリアン」
いかがでしたか?現在のカフェにあたるコーヒーハウスは、文化的にも大きな役割を担っていたようですね。
また、ヨーロッパ最古のカフェ「カフェ・フローリアン」が、現在でも営業をしていることには驚きました。300年近く営業を続けているカフェのコーヒー、一度飲んでみたいものですね。