コーヒーやお菓子などの加工された食品はいつも同じ色で店頭に並んでいます。実は、計測系によって一定の色調に揃えられていること、ご存知でしょうか。今回は、色調の計測器具「アグトロンスケール」についてご紹介します。
アグトロンスケールについて
アグトロンスケール(Agtron Scale)とは、米国アグトロン社から発売されている“食品用の分光光度計”で、近赤外線によって、コーヒー豆の色調と均一性を評価することができます。色調が明るいとアグトロン値が高く、色調が暗いと数値が低くなります。コーヒー豆の焙煎度や、ポテトチップスなどの食品にも使用されています。
焙煎とアグトロンスケール
コーヒーの風味は、焙煎度や焙煎の方法に直接影響を受けます。焙煎度やその進度、焙煎の均一性の測定は、製品の客観的な品質を知る上で重要なものです。
焙煎によるコーヒー豆の変化を、目視とカッピングで判断しようとしても、基準となる数値がなければいつも同じ焙煎度合いのものをテストすることができません。そんな時、焙煎のひとつの指標として活躍するのがアグトロンスケールなのです。
アグトロン値の表示はもはや当たり前?
SCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)が定める8段階の‘ロースティングチャート’も、色見本と一緒にアグトロン値が表示されています。数値で表示することで明確な評価ができ、あいまいさを排除できることがアグトロンスケールを使う利点です。
アメリカには、焙煎豆にアグトロン値を表示して販売しているコーヒーショップもあるのだとか。日本でも、そのようなお店が増えるかもしれませんね。
焙煎の指標となる数値
焙煎の進度がわかるアグトロン値ですが、物質の明度を表すL値もひとつの指標とされています。L値とは、黒を0、白を100として明度を数値化したもので、色差計を用いて測定します。アメリカの焙煎業者はアグトロンスケールを使うことで浸透していますが、日本国内では、色差計で焙煎度を判断することも多いようです。
アグトロン値が同じなら同じ風味になるか?
アグトロン値が同じなら、同じ風味になるか?焙煎する人にとってはとても興味深い質問ですが、結論から言うと、同じになるとは限りません。
同じアグトロン値に焙煎したコーヒー豆でも、焙煎にかかった時間によって苦みがますことがあるのです。同じ風味のコーヒーに近づけるためには、アグトロン値を合わせるだけでなく、焙煎時間にも気を配る必要があるのです。焙煎って本当に深いですね。
計測器具「アグトロンスケール」とはまとめ
アグトロンスケールは、コーヒー豆の色調や焙煎の均一性を計る「食品用の分光光度計」で、アグトロン値を表示したコーヒー豆が販売されているほど、アメリカの焙煎業界ではポピュラーな計測器です。
アグトロン値は、焙煎の進度を目視や時間だけでなく、明確に把握するためのひとつの指標となるため、同じ条件で同じ焙煎度合いにコーヒー豆を仕上げたい時などに、とても便利なツールです。