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実は知らないトルコ・コーヒーの事実

実は知らないトルコ・コーヒーの事実

トルコ・コーヒーについて、今回はほんの少しマニアックでディープな部分までお話しさせていただきます。
私事ですが、大学の専攻でトルコを選んだという事もあり、トルコ語で書かれたトルコ・コーヒーの本も読んだこともありました。そんな経緯もありつつ、今からトルコの喫茶文化からコーヒーの注文方法まで、深い部分にも迫っていきたいと思います。

イブリックの意味と意外な事実

いきなりですが、皆さんに問題です。トルコ・コーヒーには欠かせない下の画像の道具は何と呼ぶでしょうか?

実は知らないトルコ・コーヒーの事実_ジェズヴェ

イブリックとは言わない!?

先ほどの問題、答えは「イブリック!」……とは言い切れないのです。
実は日本や英語圏では「イブリック」の名前で広く知られていますが、トルコ語ではイブリックとは呼びません。
この道具をトルコ語では「ジェズヴェ」(Cezve)と呼びます。しかし、その一方でトルコ語にはイブリックという言葉も存在するのです。

イブリックと何なのか?

トルコ語では「イブリック」と言うと、細長い水差しのことを指します。アラビア語もまたイブリックと似た単語があり、水差しやケトルを意味します。
そのためトルコやアラブで使う「イブリック」とは、コーヒーとは別物を意味します。旅行に行かれる際は気を付けてくださいね。

格式高いトルコ・コーヒー

一杯のコーヒーには40年の思い出

トルコ・コーヒーは、コーヒー占い専門の占い師がいます。また、親しい知人や恩人などにおもてなしをする場合に飲まれるなど、日本人にとっての抹茶のような、伝統色のある大切な存在です。
それを表している言葉が「一杯のコーヒーには40年の思い出」“Bir fincan kahvenin kırk yıl hatırı vardır.”ということわざです。たった一杯のコーヒーであっても、40年(長い時間を意味する)の友情や思い出が詰まっているくらい大切なものだということです。

実はチャイの方が一般的

実は知らないトルコ・コーヒーの事実_チャイ

抹茶のような存在ということもあり、意外とトルコ・コーヒーを飲んでいる人々を見かける機会は多くはないかもしれません。一般的にはチャイ(紅茶のようなもの)やシアトル系のコーヒーを飲んでいる人を多く見かけることができます。
というのも、トルコ・コーヒーは作るのに時間と手間が掛かります。さらに、チャイよりトルコ・コーヒーの方が価格は高いです。そのため、喫茶店では手軽に飲めるチャイを飲む姿の方がよく見かけられます。

デミタスカップ並みの小ささ

実は知らないトルコ・コーヒーの事実_カップ

トルコ・コーヒーを飲むとに多くの方が驚く点が、カップが可愛いくらい小さいことです。画像を見てのとおり、左がティーカップで、右がトルコ製のカップです。
そのうえカップの中の2〜3割はコーヒー粉なので、実際に飲む量は本当に少量です。

実はトルコだけじゃないトルコ・コーヒー

実は知らないトルコ・コーヒーの事実_カフヴェハーネ

トルコ・コーヒーばかりが取り上げられるので、「イブリック=トルコ」という印象が強いかもしれません。しかしトルコだけで飲まれているわけではありません。
旧オスマン帝国の領土やアラブを中心にイブリックを用いたコーヒーが飲まれています。

絶対トルコとは言わない「グリーク・コーヒー」

トルコも日本と同じく隣国と様々な問題を抱えています。それがトルコとギリシャです。歴史的に幾度となく戦争をしていて、現在でも対立しています。
そのためか、トルコ・コーヒーもギリシャへ行けば「グリーク・コーヒー」と呼びます。(グリーク “Greek” はギリシャの英語読み)ギリシャでトルコ・コーヒーと言うと、最悪の場合お店から追い出されます。絶対に気を付けて下さい。

スパイシーな「カフワ・アラビーヤ」

アラブ地域ではトルコ・コーヒーにカルダモン加えて淹れたコーヒーが好まれ、一般的に「カフワ・アラビーヤ」と呼ばれています。
カルダモンの効いた異国情緒あふれるコーヒーで、普段と違う一時を過ごすのも面白いかもしれません。

チェコでも似たものが飲まれている

チェコといえばビールの国で、何となくヨーロッパの真ん中にありトルコからは遠いイメージがないでしょうか。そんなチェコでも “turek”(和訳するとトルコ)が飲まれています。しかし全く違う点が、イブリックを使用しなくても良いという点です。
イブリックを使用するかしないかはカフェ次第で、上澄み液を飲むコーヒーを総称して “turek” と呼ばれています。

実は知らない、トルコ・コーヒーの事実 まとめ

トルコ・コーヒーは本を読んでいても、おまけ程度でしか書かれておらず、なかなか知ることが出来ません。イブリックの意味から実情まで知らなかった方も多いのではないでしょうか。
マイナーでマニアックなトルコ・コーヒーですが、これを機会に関心を寄せていただけるなら本望です。

About the Author

汐井有

モットーは専門化したコーヒーについて、詳細を伝えつつ噛み砕いた説明で興味を持ってもらうこと。 専門的な記事と解りやすい記事の両方を書こうと思っています。