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コーヒーの焙煎前の状態の「生豆」が出来るまで

コーヒーの焙煎前の状態の「生豆」が出来るまで

芳醇で香ばしい香りのするコーヒーですが、コーヒーの大元をたどると、コーヒーの木の果実の種子なのです。コーヒーの独特の香りと味は、焙煎という熱反応によってなされるもの。今回は、コーヒーが焙煎される前の状態「生豆」についてご紹介します。

コーヒー豆とは

そもそもコーヒー豆は、コーヒーの木(アカネ科の植物)の種子のことをいいます。コーヒーの木は、苗木が成長して2~3年でジャスミンのような香りのする白い花が咲くようになります。

この花は開花して2,3日でしぼんでしまいますが、やがて楕円形の実をつけます。完熟すると赤くなりサクランボに似ているところから“コーヒーチェリー”と呼ばれます。

コーヒー豆の構造

コーヒーチェリーの中には、種子が2個向かい合わせになって入っています。コーヒーチェリーは、外側から外皮、果肉、内果皮(パーチメント)、銀皮(シルバースキン)、種子の構造になっています。この種子の外側の部分を取り除いたものが生豆(なままめ)です。

パーチメントとは

パーチメントとは、コーヒーの実の種子を包んでいる周りの薄茶色の皮のことで、内果皮(ないかひ)とも呼ばれています。パーチメントはとても強靭で、粘着質の膜のように種子を包み込んでいます。この時点で出来るコーヒーのことをパーチメントコーヒーと言います。

シルバースキンとは

シルバースキンとは、コーヒーの実から豆となる種子を取り出し、果肉などを取り除いたとき、種の内側にある薄い皮のことです。この皮が銀色に見えることから、一般的に“シルバースキン”と呼ばれています。

シルバースキンは、精製過程で取り除かれるか、焙煎時に燃えて無くなることがほとんどですが、焙煎後に残ることもあります。

コーヒー生豆の精製手順

収穫したコーヒーの実は、精製されて果肉の部分が取り除かれコーヒーの生豆となります。コーヒー豆の精製方法は基本的に2つ。

ひとつは、収穫した実を天日で乾燥させた後、石臼や脱穀機のようなもので果肉をつぶして種子(生豆)をとりだす「自然乾燥式(またはナチュラル)」と呼ばれ、主に小規模な農場で行われています。

もう一方は、大規模農場で行われている「水洗式(またはウォッシュド)」と呼ばれる方法です。

水洗式(ウォッシュド)

  1. 収穫したコーヒーチェリーを水槽に入れ、収穫の際に紛れ込んだ葉や枝などを取り除くと共に、完熟した実が沈むことによって未熟の実と分別します。
  2. 分別された実は果肉除去機にかけられて果肉が取り除かれます。この過程でパーチメントコーヒーが出来ます。
  3. パーチメントコーヒーは、醗酵槽と呼ばれる水槽に移されます。そこで、パーチメントを醗酵させます。
  4. その後、醗酵させたパーチメントを水洗いして取り除きます。
  5. 乾燥させます。乾燥方法は、大型の乾燥機を使用するか、中には天日で行うところもあります。

自然乾燥式(ナチュラル)

ナチュラルは、収穫したコーヒーの果実を天日でカラカラになるまで乾燥させてから脱穀する工程です。ナチュラルはその精製方法の特性から、パーチメントが取り除かれずに残っている場合が多いです。

  • メリット
    天日干しには、甘みが増すというメリットがあります。また、完全にはパーチメントが取り除かれないため、しっかりと生豆の表面を覆っているパーチメントが、水分の蒸発を防ぎ、生豆の長期保存に向くとも言われています。
  • デメリット
    天日で乾燥させるときに管理が悪いと、乾燥具合にムラができたり、土の匂いが付着することもあるなど、乾燥させる環境や天候に左右されるデメリットがあります。また、残ったパーチメントが焙煎時に燃え、きつい燻り臭の原因にもなります。

コーヒーの焙煎前の状態の「生豆」が出来るまで まとめ

コーヒーの出自をたどると、果肉の中にある種子だというから驚きです。コーヒーの生豆は薄いクリーム色のような色をしていますが、それに熱を加える焙煎過程を経て初めて「コーヒーらしい」香りと味が出てくるのです。つまり、コーヒー生豆とは、焙煎前の状態を指すのです。

焙煎店に行ってコーヒーを購入するときは、豆の色の違い、香りの違いにも注意を払ってみると、おもしろい発見があるかもしれません。

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coffeemecca編集部

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