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OMOTESANDO KOFFEE(表参道コーヒー)

OMOTESANDO KOFFEE(表参道コーヒー)

日本の趣を世界に発信した唯一無二の空間。

儚さが前面に出たフォトジェニックな一枚。場の力も相まってか、唯一無二の空間には人々を魅了させるオーラがありました。お店は無くなっても、人々の記憶にはいつまでもあり続けることでしょう。

惜しまれつつも、2015年12月30日をもってOMOTESANDO KOFFEEはその歴史に幕を閉じます。2011年にオープンした当初は1年間の限定としての営業でしたが、多くの人に愛され、結果5年間継続することになりました。

OMOTESANDO KOFFEE_topimage2

ここ数年で新しいコーヒーの潮流も着実に浸透しつつありますし、コーヒーを飲むという目的だけを考えれば表参道には至るほどお店が点在しています。「古民家カフェ」なる単語を耳にする機会も増えましたが、リノベーションが施されている所も多いです。OMOTESANDO KOFFEEの閉店理由が建物の老朽化ということからも、日本の古民家を五感で触れることができる空間であったことが解ります。

OMOTESANDO KOFFEE_entrance1

表参道駅前の大通りから一本脇道に入ると広がる住宅街。メインストリートから少し外れると飲食店も少なく人通りもまばらですが、お店の前まで行くと長蛇の列が出来ています。

OMOTESANDO KOFFEE_townimage

12月の土日に2回ほど前を通りましたが、いずれも午後の時間帯は20~30人ほど並んでいました。海外の観光客もちらほら、instagramの投稿を見ると中国や韓国の方が多い様子。ちょっとした観光スポット的なお店にもなっているようです。

OMOTESANDO KOFFEE_procession

店内にイートインのスペースはなく、軒先に2人掛けのベンチがあるのみです。内装は日本家屋の味を最大限維持するための最小限の灯り、昼間は入り口兼軒先から陽の光が燦々と降り注ぐので十分に明るいです。

OMOTESANDO KOFFEE_interior

OMOTESANDO KOFFEE_takeout

ドリンクはエスプレッソ系が主体、基本メニューこそ姉妹店のTOEANOMON KOFFEEと同じですが、この空間で飲むことに意義があります。名物はエスプレッソとミルクをアイスシェイクしたアイス・カプチーノです。

OMOTESANDO KOFFEE_menu

フードはミニマルにキューブ型のベイクドカスタードのみですが、こちらもコーヒーのお供として買っている方が多く見られました。

OMOTESANDO KOFFEE_food

チンバリ社の朱色のエスプレッソマシンと、その前で黙々とドリンクを作るバリスタ。注文したアイス・カプチーノは作業工程も多いのですが、非常に丁寧で無駄のない所作で2分掛からず作られていました。「質とスピードは相反する」とよく言われますが全くの逆で、質を追求した結果、スピードもそれに追随した、という感じです。

OMOTESANDO KOFFEE_machine

シェイカーで攪拌した際に含まれた空気が、気泡となってココアパウダーの表面に膨らみを作っています。徐々に大きくなり、やがて一つの気泡となって消えていく様は、刹那的であり儚さがあります。

エスプレッソのほのかな苦味とミルクの優しい甘み、滑らかな口当たりは独創性に溢れています。

OMOTESANDO KOFFEE_cappuccino

後ろに並んでいるお客さんも居たので、滞在時間はほんの数分ほどでしたが、海外の方には勿論、日本人にとっても日本の優れた文化・所作・技巧を感じることができる空間でした。本当に惜しまれつつですが、また別の古民家で再開して貰いたいという気持ちもありますが、先ずは5年間お疲れ様でした。

日本家屋の独特の空間を体験することは叶いませんが、ドリンクは虎ノ門にあるTORANOMON KOFFEE(https://coffeemecca.jp/coffeeshop/663)でも飲むことが出来ますので、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

OMOTESANDO KOFFEE 店舗情報

住所: 東京都渋谷区神宮前4-15-3

移動時間: 表参道駅A2出口より徒歩5分

営業時間: 10:00~19:00

定休日: 無休

wifi: なし

電源: なし

喫煙: 不可

HP: http://ooo-koffee.com/omotesando.html

About the Author

神宮司茂

東京都下町生まれ下町育ちの30代。コーヒーは大学生くらいまで苦手でした。大学生の頃、新宿のPAUL BASSETTでラテアートを見て感動したのがコーヒーとの出会い。休日は専ら愛機のb-ant 406steel(ミニベロ)で都内を散策。コーヒー以外に、ラーメン、ファッション、ミステリ小説、ガンダム(宇宙世紀)と守備範囲は広め。 モットーは「広く、それなりに深く」。