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黄金の甘み「インド・モンスーン」

黄金の甘み「インド・モンスーン」

インドでコーヒーが生産されていることをご存知でしょうか?アッサムやダージリンなど紅茶は有名ですが、実はコーヒーの生産地としても有名なのです。そしてインドのコーヒーをたらしめるものこそが「インド・モンスーン」です。

その黄金色に輝く「インド・モンスーン」について、これからご紹介いたします。

「インド・モンスーン」は、こんなコーヒー

香りや風味

  • モカとは一線を画した独特の風味
  • 甘みが強い
  • ベタッとした甘みの一方で爽やかさも併せ持っている

オススメの飲み方

  • オススメの抽出方法:ネルドリップ

相性

  • ミルク:良い
  • 砂糖 :普通
  • お菓子:プレーンビスケットなど素朴なお菓子

こんな時にオススメ

  • のんびりしたい時
  • 読書など静かな時間に

モンスーンを浴びた黄金のコーヒー豆

黄金のコーヒーの歴史

インド・モンスーン_生豆

インドのコーヒー生産は歴史が深く、1600年代から栽培され始めました。そして大航海時代以降、ヨーロッパ各国の「東インド会社」によって、ヨーロッパへ輸出されるようになりました。

当時はスエズ運河も動力船も存在せず、帆船でアフリカ大陸を一周するという長い航海の旅を経て、ヨーロッパへ届けられました。その長い航海の間、コーヒー豆は海水面に近く湿気のある船倉で、湿気を含んだモンスーン(貿易風)に晒され続けました。

その結果、コーヒー豆は黄金色になり独特の風味を帯びるようになったのです。

黄金を再現したモンスーン

そんな黄金色のコーヒーも産業革命以降、スエズ運河が開通して動力船が用いられると、輸送時間の短縮やモンスーンの影響を受けなくなったために姿を消しました。

しかし黄金色のコーヒーを望む声は多く、それに応えるべく作られたのが「インド・モンスーン」です。

当時のコーヒー豆を再現すべく、アンウォッシュト(非水洗式)のコーヒー豆を、湿気を含んだモンスーンに晒します。そうすることで同じ環境を再現して、黄金色のコーヒーに仕上げていくのです。

ペーパードリップ:香味×甘ったるさ

インド・モンスーン_コーヒー

飲んだ瞬間からモカに似て非なるフレーバーを感じることができますが、モカに比べ甘みが非常に強く感じられます。どちらかというと、モカのような複雑さとは異なり、「旨み」とも言える甘みを含んだネットリした独特の風味です。

余韻までもが甘みで覆い尽されているためか、ペーパードリップで抽出してもネルドリップのコーヒーのようなマイルドさが目立っています。

細いお湯で、じっくり抽出

インド・モンスーンの複雑な個性を引き出すには、細いお湯を注いでじっくり抽出すると良いでしょう。細く注ぐことで豆とお湯の触れる時間が長くなり、個性をしっかりと引き出してくれます。

甘ったるさが苦手な方は、太めのお湯であっさりしたテイストに仕上げると、いくらか飲みやすくなります。

今回の抽出方法

  • ドリッパー:HARIO V60ドリッパー
  • 豆の分量:25g(二人分、250ml)
  • 挽き具合:中挽き
  • 抽出温度:80℃

ネルドリップ:一段増した甘ったるさ

ネルドリップ特有の優しい味わいからか、ペーパードリップに比べて爽やかな酸味が抑えられていてモカに近い印象を受けます。

一方で甘みは強調されるため、モンスーン独特の個性も強く感じることができます。甘みはハニーコーヒーのカモミールのような甘みとは異なり、意外と甘ったるく重みがあり、余韻に至るまで強い甘みを感じることができます。

ペーパードリップでも甘ったるく感じるのですが、ネル特有の柔らかさが甘みをさらに引き立てています。この甘みは人によって好みが分かれるかもしれません。

今回の抽出方法

  • 豆の分量:25g(二人分、250ml)
  • 挽き具合:中粗挽き
  • 抽出温度:80℃

フレンチプレス:飲みやすい甘さ

酸味はほどほどですが、爽やかさとコーヒーオイルによる柔らかみ、そして甘みをしっかりと感じることができます。やはり甘みは強いのですが、爽やかさのため飲みやすく仕上がっています。

余韻は甘みより爽やかさが目立っていて、ネルドリップの甘ったるさとは正反対の印象です。

好みによって三者三様ですが、最も飲みやすい抽出方法かもしれません。

今回の抽出方法

  • 豆の分量:18g(容量350mlのもの)
  • 挽き具合:粗挽き
  • 抽出時間:4分00秒

好みが分かれる甘み

インド・モンスーン_焼豆

甘さと独特の旨みを含んだ風味が最大の特徴であるため、カフェオレが好みの方もまずはブラックで飲んでほしいコーヒーです。もしかすると、いつも砂糖を入れて飲んでいる方も、このコーヒーに関しては砂糖がいらないと思ってしまう方もいるでしょう。

その反面、砂糖がいらないと思わせるくらい、ベタッとした甘みを含んだ風味を有しています。そのため、甘ったるいと敬遠してしまう方もいるかもしれません。良くも悪くも独特の風味を有するコーヒーであるのは確かです。

黄金の甘み「インド・モンスーン」まとめ

個人的感想

個人的には甘ったるさが強く、毎日飲んでいると飽きてしまいそうです。ですが、たまに飲むコーヒーとしては良く、普段とは異なる時間を与えてくれます。

読書に耽るといった自分だけの静かな時間に、一杯あると良いなという印象を受けました。

コーヒー豆の情報

  • 名称:インド・モンスーン
  • 産地:インド、バンガロール近郊
  • 精製:アンウォッシュト
  • 焙煎:ハイロースト
  • 購入店:ワールド・ビーンズ・ショップ
  • 購入店URL:http://www.worldbeans-shop.com/

About the Author

汐井有

モットーは専門化したコーヒーについて、詳細を伝えつつ噛み砕いた説明で興味を持ってもらうこと。 専門的な記事と解りやすい記事の両方を書こうと思っています。